住宅や土地などの不動産を売却する場合は、専門家である仲介業者に依頼するのが一般的です。仲介業者はプロとして、法律に則り依頼された物件の成約に向けて営業活動をします。ひとつの業者に依頼すれば、広域に物件情報が流れる流通機構も整備されています。スピーディーに成約させるために、「売り」のシステムを理解しておきましょう。
不動産の売買を業者に依頼するときには、宅地建物取引業法により「媒介契約」を書面で結ばなければなりません。依頼の内容を事前に書面化することによって、トラブルを回避するための措置です。国土交通省では、媒介契約に必要な事項を記載した「標準媒介契約書と標準媒介契約約款」を作成していますので、確認してください。
媒介契約には(1)専属専任媒介契約(2)専任媒介契約(3)一般媒介契約、の3種類があります。一般媒介契約には、さらに明示型と非明示型があります。
媒介契約タイプ別の特徴、概要を表に示しておきましたので、参考にしてください。
媒介契約書には媒介価格(物件を売買すべき価格)を記載することになっています。その際、業者が価格に関して意見を述べる時は「合理的な根拠」を示して説明しなければならないようになっています。依頼者が納得する価格設定の根拠を求めているわけです。そのため、業者は(公財)不動産流通近代化センター作成の「価格査定マニュアル」などを利用して、媒介価格を決めてその根拠を説明します。
ただし、市場や情勢の変化などで、相場も変動します。その場合には、媒介価格の変更もありますが、このケースでも根拠を示して、助言しなければならないことになっています。
専属専任媒介契約、専任媒介契約を結ぶと、依頼された業者は『国土交通大臣指定不動産流通機構』に情報を登録することを義務付けられています。指定流通機構は、(公財)東日本不動産流通機構、(公社)中部圏不動産流通機構、(公社)近畿圏不動産流通機構、(公社)西日本不動産流通機構の4公益法人によって運営されています。加盟している業界団体がサブセンターになり、その会員業者が仲介活動を行っており、全国では約12万の業者が参加しています。
指定流通機構に登録された情報は、レインズシステム(不動産流通標準情報システム)により、加盟会員に流れる仕組になっています。登録された情報は、会員業者のパソコンやファクシミリで検索され、買主のもとに伝達されます。つまり、1社に依頼すれば、多くの業者が仲介活動に参加し、早期の成約が可能になるシステムです。
専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 | ||
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明示型 | 非明示型 | |||
特 徴 |
1社だけにしか売却を依頼できない | 複数の業者に依頼できる。依頼先を明示する明示型と明示しない非明示型がある | ||
業 者 の 義 務 |
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仲介活動はするが、義務等は課せられていない | |
依 頼 者 の 義 務 |
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自分で買主を見つけて取引することも可能だが、契約期間中は仲介業者がかけた費用を支払わなければならない |
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期 間 |
3ヵ月以内(更新可能) | |||
手 数 料 |
国土交通大臣告示により上限は成約価格の3%+6万円以内(別途消費税)。 手数料は売買契約時に半分、引き渡し時に半分が一般的。 |
チェックポイント |
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◆1社に依頼しても多くの業者に情報が流れる専属専任、専任媒介契約
◆価格査定は合理的な方法で
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