買い替えの際には、「買った」ときの税金に加えて、「売った」ときの税金も考えなければなりません。土地や建物を売却した場合には、その譲渡所得に対して、所得税(国税)と住民税(地方税)が課税されますが、居住用の財産の譲渡に対しては軽減措置があります。ただし、売却に対する軽減措置を使うと、新たに買った住宅の特例措置が使えない場合があります。損をしないように税金についても、勉強しておきましょう。
自宅を売却する際、売却価格が取得価格を上回っていた場合に、その上回った部分に譲渡所得税がかかります。譲渡所得は、次の計算式で求めます。
売却価格-(取得費+売却時の諸費用)
この計算式で求めた譲渡所得に対して、所有期間に応じて、所得税(国税)と住民税(地方税)がかかってきます。概略は別表を参考にしてください。
自宅を売却する場合は、前掲の計算式で求めた譲渡所得が3,000万円以下であれば、課税される心配はありません。租税特別措置法による3,000万円特別控除により、税金は払わなくてすみます。適用条件はいろいろありますが、一般的な住宅を売却する場合には、「3,000万円特別控除」をまず考えてみてください。
自宅を売却して、新たに家を買い替えたいという場合には、「買い替え特例」という制度もあります。
ただし、この制度は、売却時に納めるべき税金の課税が将来、次に売却するまで繰り延べられるというものであり、課税が一切免除されるというわけではありません。買い替えの場合でも、譲渡所得が3,000万円以内でおさまるならば、2.の「3,000万円特別控除」を利用した方が、その後の課税関係がスッキリしますし、一般的には有利です。
自宅を売却して譲渡損が発生した場合、平成11年度の税制改正で、一定の要件の下、その翌年以降3年間所得税・住民税の繰越控除が認められました。さらに5で述べる住宅ローン控除との併用も認められました。
一定の要件とは、一定期間内に自宅を買い換えること、売却する住宅・購入する住宅ともローン残高があること等です。
平成13年度の税制改正で「新住宅ローン減税」が創設されました。返済期間が10年以上の住宅ローンのうち、建物と土地にかかるローン残高(公的融資、民間融資を問わない)に対して、10年間にわたって所得税から税額控除してくれます。この住宅ローン減税制度は、10年間合計で最高500万円が所得税から控除され、年末調整や確定申告で戻ってきます。(注:借入金、購入する住宅、購入する人に対し、諸条件があります。)
ただし、買い替えで「3,000万円特別控除」や「買い替え特例」などの制度を利用した場合は、適用されません。また、「3,000万円特別控除」と「買い替え特例」も同時に使えません。どの制度を利用したら得かも、ある程度自分で計算してみてください。ただ、税制は複雑ですので、分からない場合は、専門家に相談してください。
譲 渡 所 得 税 ![]() 所 得 税 ・ 住 民 税 ![]() |
課税対象 | 区分 | 税額 | 軽減措置 | |
---|---|---|---|---|---|
個人が居住用の土地や建物を売却して得た所得(譲渡所得)にかかる | 短期譲渡所得 | 保有期間 5年以内 |
|
居住用財産の3,000万円特別控除 | |
長期譲渡所得 | 保有期間 5年超 |
|
チェックポイント |
---|
◆取得費の計算
◆3000万円特別控除の適用条件
◆税金は専門家に相談を
|