アパートやマンションを借りる場合や自宅を転勤などで短期間貸したいといったケースについても、ある程度の知識が必要です。快適に生活するためにも、「借りる」「貸す」に関してのチェックポイントがあります。
アパートやマンションを借りる場合も、まず希望条件を明確にしておく必要があります。まず(1)月々の家賃等はいくらか(2)敷金、保証金といった一時金の予算は(3)通勤・通学に要する時間は(4)間取り・広さは(5)周辺環境は、などを整理してみてください。予算が優先されるでしょうが、単身者の場合なら、近くにコンビニやスーパーなどの生活利便施設があったほうが便利でしょうし、結婚したての若夫婦なら子供が生まれた場合はどうなるのか、なども確認する必要があります。
月々の支払い家賃が決まれば、一時金の予算もたちます。一時金は、地域によって商慣習が異なりますが、敷金あるいは保証金などです。敷金は預り金で賃借人が退去のときに戻ってくる性格のお金ですが、退去の際、借主の責任に帰する住居の損傷などがあれば修繕費用として差し引かれることがあります。保証金の場合は、預り金の性格をもちますが、退去の際に償却されるケースが多くみられます。
情報誌に目を通して相場を知ることも重要ですが、最も情報をもっているのは、地元に密着した仲介業者です。住みたい地域の業者を訪ね、条件を示して相談してみてください。全宅連傘下の宅地建物取引業協会に加盟している『ハトマーク』のお店なら安心して相談できます。
必ず現地に足を運び、通勤や通学時間を調べてください。この時、周辺の商店、飲食店の様子、開店・閉店時間もチェックしたいものです。部屋も自分の生活時間、趣味等を考えて、選ぶことが大切です。
賃貸住宅を借りる場合も、宅地建物取引士が重要事項を説明し重要事項説明書を交付した後でなければ、契約締結はできないことになっています。重要事項説明には、物件の内容、賃料と支払い時期、契約期間、敷金等の一時金の額、更新時の賃料の改定方法などをはじめ、台所、浴室、便所などの設備の整備状況、居住用に限るか、ペットは飼えるか、ピアノは使用できるかなどの用途や利用の制限、敷金の契約終了時における精算に関する事項などが盛り込まれています。トラブル防止のためにも、疑問点は確認したうえで、契約してください。
転勤などで自宅を期限付きで貸さなければならない場合もあります。こうしたケースでは、仲介業者に依頼して「定期借家制度」で賃借人を斡旋(仲介)してもらうことになります。ここで重要なことは、転勤の間だけの賃貸ですので、期限を確実に守ってもらう契約内容にしなければなりません。詳しくは「8.定期貸家制度について」をご覧下さい。また、賃借人の募集という仲介業務と併せて、家賃の集金といった管理業務を業者に委託したほうがスムーズにいく場合が多いようです。
家賃収入は不動産所得になりますので、賃貸収入から必要経費を差し引いてプラスなら他の所得と合算して課税対象になりますし、マイナスなら税金が戻ってきます。
自宅を期限付き賃貸に出す場合、住宅金融公庫、年金などの公的住宅ローンはどうなるかの問題がありますが、転勤などのケースでは救済措置があり、会社からの転勤証明書を提出すれば、融資はそのまま継続されます。
「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」が、平成12年3月1日より施行されています。これにより、いわゆる定期借家権制度がスタートをしています。定期借家権は、貸主と借主の合意により、契約方法、建物の賃貸借期限等、自由に契約できる制度です。
この定期借家権を利用して、部屋を借りる・貸す場合は、宅建業者に詳しく内容の説明を聞くとともに、トラブルを避けるためにも、必ず宅建業者を介して契約を締結されることをお勧めします。
なお、定期借家権と従来型の借家契約との比較表を参考までに下記に掲載します。
定期借家契約 | 従来の借家契約 | ||
---|---|---|---|
1 | 契約方法 |
|
書面でも口頭でも可 |
2 | 更新の有無 |
|
正当事由がない限り更新 |
3 | 建物の賃貸借期間の上限 |
|
|
4 | 期間を1年未満とする建物の賃貸借の効力 |
|
期間の定めのない賃貸借とみなされる |
5 | 建物の貸料の増減に関する特約の効力 |
|
特約にかかわらず、当事者は、貸料の額の増減を請求できる |
6 | 中途解約の可否 |
|
中途解約に関する特約があれば、その定めに従う |